ブッダの真理のことば・感興のことば

ブッダの真理のことば

はじめに

書評の第2弾に着手!

鈴木和馬です。長らくお待たせしましたが、ようやく書評第2弾に取り組むことに決めました。前回の「ソクラテスの弁明|クリトン」の後、もっと早く手をつけるつもりでいましたが、現実は思うようにはいかないものですね。

YouTubeで定期的に更新している方々や、ブログで書評を発表している方々には、本当に頭が下がる思いです。彼らの情熱とコミットメントには尊敬の念しかありません。

もっと頻繁なペースで書評をお届けできるよう、これからも精進してまいります。もっとも、本を読まずしてYouTubeの動画を観て書く作業を書評と呼べるのか。その辺りは大目に見て頂ければ有難いです。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします!

1.どんな本か?

ブッダの真理のことば

出版社:岩波文庫
翻訳:中村元
発売日:1978年1月16日
要約してくれたYoutuber:アバタロー

「ブッダ」ことゴータマ・シッダールタの生い立ち、その生涯や悟りの探求の旅、そして「悟り」、つまり真理の洞察に至るまでの苦悩。さらに、四諦や八正道といった教義についても触れられています。

日本では、無宗教を自認する方が増えつつありますが、神道や仏教は日本に根付いた伝統であり、お葬式においても仏式が一般的です。しかし、仏教はあくまでお葬式のためだけのものではなく、生きるための貴重な教えを提供しています。

ブッダの遺した教え、仏教の基本を知ることは、人生において大いに役立つことでしょう。どのような考え方や教えが隠されているのか、その手がかりが詰まった本と言えそうです。

2.この本(動画)を選んだ理由

神社仏閣を訪れることが趣味なんですが、実は仏像や宝物の知識には疎いんですよね。でも、神社や寺院がいつ、誰によって建てられたのか、そしてその場所にまつわる歴史や出来事には興味津々!

実際に足を運んで歴史を感じるのは、本当にワクワクします。そんな神社仏閣巡りを通じて、仏教についても気になり始めました。仏教って一体何なのか? どんな教えがあるのか? それに答えを見つけるため、この本を手に取りました。

3.登場人物

ゴータマ・シッダールタ 釈迦族の王子、後のブッダ

4.あらすじ

① 仏教の創始者であるゴータマ・シッダールタ、通称「お釈迦様」の生涯について

シッダールタは紀元前5~6世紀ごろ、インド北部にある釈迦族という部族国家の王子として生まれました。お釈迦様と呼ばれる通り、釈迦族の聖者であることを示す尊称です。幼少期から宗教的な興味を持ち、いつかは出家して真理を追求することを夢見ていました。

しかし、彼が出家を決意するきっかけとなったのは、宮殿の四つの門を通過した出来事でした。最初に老人、次に病人、そして死人の姿を目にし、これらの苦しみを知り、人々が老い、病気にかかり、死んでいく現実に衝撃を受けました。最後に出家者の姿を見て、彼は真理を探求するために出家する決意をしました。この四つの門を通る出来事は「四門出流」と呼ばれ「生老病死」を強調するエピソードです。

出家後、シッダールタは過激な苦行を行い、極限の断食や苦行に明け暮れました。しかし、それでも真理にたどり着けず、自己克服に失敗しました。絶望の中、川で沐浴をし、ガヤの菩提樹の下で座禅を組み、7日目に悟りを開きました。この境地に至ることで彼は「ブッタ」と呼ばれるようになりました。

ブッタが手に入れたのは、人間の苦しみの根源を分析し、人生をより良く生きるための指針となる「四諦」や「八正道」という教えです。諦めることを意味する「諦」は、真理を明らかにすることを指し、ネガティブな意味ではありません。実際、物事の道理や真理を理解することは、次の段階に進む鍵となります。

ブッダの求道の旅は、人間の苦しみと向き合い、真理を追求し、最終的に悟りを開いた物語です。これらの教えは、仏教の基盤となり、私たちが人生において幸福を追求する手助けとなります。

② ブッダが示した四諦(苦諦、集諦、滅諦、道諦)

四諦は、仏教の核となる教えで、人生の苦しみから解放への道を示しています。さっそく、その内容を深堀りしてみましょう。

1.苦諦(生きることは苦)
この諦(真理)は生の本質的な苦しみを指します。生まれること、老いること、病気にかかること、死ぬこと。これらの現実から逃れられないことが、生きることの本質的な苦しみとされています。

2.集諦(苦の原因は煩悩)
集諦は、苦しみの原因が煩悩にあることを示しています。煩悩は、執着や欲望、無知、怒りなど、我々を苦しみに陥れる要因です。この諦によれば、これらの煩悩を解消することが苦からの解放への鍵です。

3.滅諦(煩悩を消すことで苦が消滅)
滅諦は、煩悩を克服することで苦しみが消えることを示します。煩悩の消滅は、内なる平和と調和への道を開き、苦しみを克服する手助けとなります。

4.道諦(悟りを得るための八正道)
最後に、道諦は、悟りへの道である八正道を指します。八正道は、正しい見解、思考、言葉、行動、生業、努力、意識、瞑想を実践することで、煩悩を克服し、悟りを開く手法です。

仏教の教えは、生の苦しみを理解し、その原因である煩悩を取り除くことで、真の幸福への道を歩むことを提案しています。この教えは、人々の日常生活においても有益であり、四諦と八正道の智恵を取り入れることで、より充実した人生を築く手助けとなることでしょう。

③ 苦しみがついてくる人の特徴

人生には苦しみがつきものです。しかし、ブッダの教えには、その苦しみをどのように克服するかについての深い洞察が含まれています。そのポイントを探ってみましょう。

  1. 心がすべてを創り出す
    我々の心は、言葉や行動だけでなく、私たちの感情や経験にも影響を与えています。汚れた心で行動すれば、それに応じて苦しみが生じます。人が恨みを抱くことで、その恨みはなかなか消え去りません。なぜなら、憎悪の念は他者に向けられていても、最終的には自分自身にもっと大きな害を与えるからです。
  2. 諸法無我(因果応報)
    ブッダは因果関係に基づく考え方、諸法無我の教えを提唱しました。この考え方によれば、私たちの行動は無数の因と果から成り立っており、私たちの現在の状態もそれらの因果の結果です。過去からの因によって今の結果が生じるというのは、私たちの財産や家族関係、感情の状態にも当てはまります。この理解を持つことで、怒りや恨みに捉われず、苦しみから解放される手助けとなります。
  3. 一切の形成されたものは無常
    ブッダは「一切の形成されたものは無常である」と説きました。これは、世の中のあらゆるものが永遠に変わり続けていることを意味します。お金、時間、人間関係、愛情、全ては一時的であるという真理です。この理解は、執着から解放され、苦しみを軽減する手助けとなります。
  4. 諸法無我による賢明な生き方
    人々が支配的になり、物事が思うようにいかないことに対して苛立ち、悩むことは、諸法無我の真理を理解していないことの証拠です。私たちがこの世にいることは、多くの因から生じた結果であり、何かを所有することも確実ではありません。そのため、謙虚な心で、他者や物事に対する愚かな執着を捨てることが賢明な生き方です。

仏教の教えは、苦しみからの解放への道を示しています。心のあり方が、我々の感情や経験を形成し、最終的には我々自身に影響を及ぼすことを理解することは、賢明な生き方の第一歩です。「苦しい」と感じる瞬間に、心のあり方を振り返り、ブッダの教えに学びながら、苦しみから解放されるための新たな道を歩んでみましょう。

④ 賢い人と愚かな人の違い

日常生活において心の平静を保つための重要な示唆を提供します。

  1. 勤勉 vs. 怠惰
    勤勉で励む人は、若き日から積極的に努力し、成長します。一方で怠惰でなまけている人は、時間を無駄にし、自己成長の機会を失います。怠惰という状態は、実質的には生きていない状態と同等であるとブッダは説きます。なまけたり、物事に対して消極的であることは、自己成長と満足感を奪うことにつながります。
  2. 知恵と謙虚さ
    ブッダは、賢者と愚者の大きな違いは、知識を持っているかどうかではなく、謙虚さと心の平静にあると教えました。知識があるに越したことはありませんが、それにとらわれることなく、謙虚な心で人生を歩むことが賢明です。知識は豊かな資産ですが、それに溺れないようにしましょう。
  3. 良き仲間を選び、害を避ける
    ブッダは賢者と愚者の違いを知恵の有無だけでなく、仲間選びによっても説明しました。賢者は知恵を共有し、穏やかで深い関係を築く人たちと親しむことを選びます。一方で、愚者は害をもたらし、心を乱す人々と付き合い、苦しみを増幅させます。良き仲間と共にいることは、幸福感を高め、人生を楽しくするものです。
  4. 自己コントロールと涅槃寂静
    ブッダは心の支配が難しいことを認識しています。しかし、その心を収めることができる人は、平静を持ち、幸福を見つけます。この状態は「涅槃寂静」と呼ばれ、仏教における最高の精神的境地です。この境地に至るためには、苦しみの理解(一切皆苦、諸行無常、諸法無我)が必要です。
  5. 思慮深い選択
    最後に、ブッダは思慮深い選択についても強調しました。賢者は選択を慎重にし、重要なことに集中します。それに対して愚者は細かい問題に囚われ、幸福を見逃します。賢明な人は本質を見抜き、大切なことに向かって前進します。

ブッダの教えから得られる教訓は、日常生活で心の平静を保つために役立つものが多く含まれています。我々は、努力し、知恵を持ち、謙虚で、良き仲間と共に、そして自己コントロールを持つことを通じて、幸福な生活を築くことができるのです。

⑤ 心を整える合理的な方法

他人の過失を追求し、怒りっぽくなることは、心の平静を妨げます。ブッダは、この問題について合理的で実践的なアプローチを示しました。ここから、心を整え、幸せな生活を送る方法を学びましょう。

  1. 自己評価を優先
    他人の過ちに囚われる代わりに、自分の言動に注目しましょう。自己評価は、成長のために貴重な情報を提供します。自分ができたこと、できなかったことに焦点を当て、自己向上に取り組みましょう。
  2. 有益な情報に集中
    有益な情報や知識は、自己成長の材料です。無駄な情報や議論に時間を費やす代わりに、心を静めるための有益な情報やポジティブな刺激に焦点を合わせましょう。
  3. 謙虚さと内面の平和
    ブッダは、内なる謙虚さと平和が賢さの証であると教えました。謙虚であることは、他人との調和をもたらし、自己成長を助けます。内なる平和は、他人の過失や外部のストレスに対抗し、感情の平静を保ちます。
  4. 勝利と敗北からの解放
    ブッダは、勝利と敗北に執着することは、感情的な囚われとなり、苦しみを増幅させることを指摘しました。代わりに、勝ち負けを超えて、自分の成長と平和を優先しましょう。評価や競争に囚われず、心の平静を保つことができます。
  5. 正しい選択と自制
    最後に、ブッダは正しい選択についても言及しました。無駄なことを1000回繰り返すよりも、自己にふさわしい選択を一度行う方が重要です。焦点を絞り、効果的な選択を行うことで、心の平静を保つのに役立ちます。

ブッダの教えは、合理的で実用的な指針を提供し、心の平静を保つための方法を示しています。他人の過失を探し求めるのではなく、自巴を見つめ、内面の平和を優先し、成長に集中しましょう。心の整え方について学び、幸せな生活を築きましょう。

⑥ 八正道「煩悩を消滅させる8つの道」

八正道・・・煩悩を消し去るための修行法。具体的には次の8つを学び、実践する

正見:正しいものの見方 正思惟:正しい考え方 正語:正しい言葉 正業:正しい行い 正命:正しい生活 正精進:正しい努力 正念:正しい心の在り方 正定:正しい瞑想

正しい・・・客観的、合理的、偏りがない

「よこしまな見解を抱いて、悪いところへ赴く」というブッダの言葉は、八正道の一つである「正見」の重要性について教えています。正見は物事を客観的かつ合理的に見る能力を指し、この力が私たちの日常生活にどれほど影響を与えるかを考えてみましょう。

  1. 善悪の偏見から解放
    正見は、善悪を過度に判断せず、物事を客観的に評価する能力です。善悪の偏見から解放されれば、より公平な判断ができ、対人関係が改善されます。
  2. 不適切な行動の防止
    正見は、不適切な言動や行動を防ぎます。自己中心的な見解にとらわれないことで、他人に対して配慮深く行動し、誠実な対応が可能になります。
  3. 物事の偏りを克服
    正見は、自分の都合で物事を解釈することから解放します。客観的な視点から物事を見ることで、自己中心的な解釈や無理な期待を減らし、ストレスを軽減します。
  4. 善良な人々との交流
    ブッダは、正見を育むために善良な人々と交流することを勧めました。善良な友人とのつながりは、よりよい人間関係と心の平和をもたらします。
  5. 安らぎの境地へ
    正見を養うことは、内なる平和と調和を追求する一歩です。客観的かつ合理的な視点を持ち、自己中心的な見解を超えることで、安らぎの境地に近づけます。

ブッダの教えは、正見を養い、より客観的で合理的な視点を持つことの重要性を強調しています。正見を身につけることは、対人関係、自己成長、内なる平和に大きな影響を及ぼします。他人の過失に囚われるのではなく、正見を育む道を歩んで、より幸せな生活を実現しましょう。

5.感想

YouTuberアバタローさんが紹介するように、ブッダの教えはドイツの哲学者ショーペンハウワーにも多大な影響を与えました。人間の苦しみ、老い、病気、死に対する苦悩に焦点を当て、その根源を解明しようとしたブッダの教えと、ショーペンハウワーの思想はいくつかの点で類似しています。

  1. 苦しみの起源への探求
    ブッダとショーペンハウワーは、人間の苦しみや不満の根本原因を探求しました。ブッダの四諦(苦諦、集諦、滅諦、道諦)は苦しみの起源とその克服方法を論じます。ショーペンハウワーも人間の欲望と苦しみの関連性を重要視し、このテーマに深く取り組みました。
  2. 人間の苦しみの根源
    両者は、人間の苦しみの主な原因を内なる欲望や欲望の不満からくる苦痛と結びつけました。この共通の視点から、どちらも欲望を抑え、欲望から解放される方法を探究しました。
  3. 正しい生き方への助言
    ブッダの八正道とショーペンハウワーの哲学は、正しい生き方への指針を提供します。真理の探求、自制、自己認識など、人間がより充実した生活を築くための指針が両者に共通しています。
  4. 無駄な考え込みからの解放
    両者の教えは、過度な思考や欲望にとらわれないことの重要性を強調しています。多くの人が「あれこれ考えすぎ」や「欲望にとらわれる」ことから生じる苦しみを解放する方法を提供します。
  5. 哲学と倫理の結びつき
    ブッダの教えとショーペンハウワーの思想は哲学と倫理の結びつきを示しており、知識を実践に結びつける方法論を提供しています。

ブッダの教えとショーペンハウワーの思想は、人間の苦しみと真理への探求に焦点を当てており、その点で共通点が多いと言えます。これらの教えは、人生の苦しみを解放し、より充実した生活を追求する手助けとなります。何よりも、ブッダの教えに触れることが、人としての本来の価値観を思い出す一歩かもしれません。

6.最後に

以前に仏教の基本概念に触れたことがあるかもしれませんが、YouTuberアバタローさんの動画を通じて改めてこれらの概念を学び直すことで、その深さと重要性を理解することができました。

仏教の教義には多くの深遠な側面があり、それらを理解するためには基本概念をしっかりと押さえておくことが欠かせません。実際、どの学問や哲学でも、基礎を理解していなければ高度な知識や複雑な考えに辿りつくことは難しいですよね。

「生老病死」や「四苦八苦」、「四諦」、「八正道」などの基本概念は、仏教の中核を成すものであり、これらを理解することは仏教哲学の鍵を握っています。それができることで、仏教の教えや思想がより深く、意味あるものとなるでしょう。

人生や哲学の分野において、基本をしっかりと理解することは、高度な知識や複雑な思考につながる一歩となります。その基礎が整っているからこそ、より深い学びや理解が可能となり、自己啓発や精神的成長にもつながります。

次のステップへ進む前に、基本概念をしっかり押さえておきましょう。その先には、より深い知識と洞察が待っていることでしょう。


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